春風

□story 2
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次の日の朝、俺は春風と出会った桜並木道に行った。
俺は学生だけど、今は春休みなものでね。
バイトも今はしていないから、自由気ままに遊んでいるのだ。



今日も春風は桜の木の枝に座って遠くを見ていた。
幸い今日も、この道に人通りは無いに近いくらい少ない。
春風に喋りかけているところをはたから見たら、でかい独り言を言っている危ない奴に見えるだろうからな。
春風は人間が好きではなく、人間がいるところでは、「妖気」というものを調節して、普通の人間からは春風の姿を見えなくしているらしい。
俺は『人間』と思われていないのかもしれないなぁ〜。


一応、人がいないかチェックしてから、俺は春風に声をかけた。


「おはよぉ、春風」

春風は俺を見ると枝からおりた。

「…また来たのか。暇人だな」

「ヒドイねぇ〜。まぁ確かに暇人だけどさ」

苦笑いしながら春風に言うと、春風はフイッとそっぽを向いた。

「どうした?春風?」

「なんでもない」

「そうか?…あ、そうだ春風、今日はお菓子持ってきたんだ。一緒に花見でもしないか?」

「…あぁ」

そう言って春風は俺の服の裾をつかんだ。

「こっちに花見の出来る良い場所がある。…そこは人間は来ない場所だから…そっちに行くぞ」

春風は俺が人を(妖怪の見えない人を)気にしている事を察知して言ってくれたみたいだ。その事が、少し春風と近づけたみたいで嬉しかった。

「ありがとう」

「別にお前のためなんかじゃない」

「ふふ、でも、ありがとう」

「…」

春風はまたフイッとそっぽを向いた。

照れているように見えて、また笑ってしまった。






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