黒薔薇の光
□14輪目.悪い夢
1ページ/3ページ
声がした。
幼さの残る、少年の
懐かしい、明るい声。
?「美怜!」
名前を呼ばれて、ゆっくりと目を開ける。
そこには、やはり懐かしい一人の少年の姿があった。
癖のない黒髪、キラキラ輝く黒い瞳
声と同じく、幼さの残る少年
その少年は、濃いグレーの学ランを着ていて
こちら側を覗き込んでいた。
少「ったく、何時まで寝てんだよ
遅刻するぞ!」
そう言ってまた、名前を呼ばれる。
・・・
親につけてもらった、私の本当の、名前
そのまま腕を引っ張られ、無理矢理ベッドから引きずり出される。
あぁ、懐かしいな
そう思えてしまうから、妙に自分が年をとったように錯覚して、薄っすらと笑う。
すると、聞きなれた懐かしい声で少年はまた私を呼んでくれる。
少し、眉を寄せながら、でも口元は緩めて“なんだよ、ニヤニヤして 気持ち悪ーぞ!”って
だから、こちらも言い返す。
「誰が気持ち悪いって?」
口調はきつめに、でも、顔は明らかに怒りを表すそれじゃくて
まるで、じゃれているような
そんな感じ
.