novel
□君を嫌いな理由(わけ)
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ここは毎日沢山の人々が行き交う街―池袋。
此処には学生時代を過ごした学舎(まなびや)が有り、…何より―――
『い〜ざ〜やく〜ぅん!』
そう。池袋最強と歌われる平和島静雄がいる―
『シーズちゃんっ!!おひさ♪元気だった?』
『手前ェ見たせいでヘドが出そうだ…。』
『お〜こわいこわい☆』
僕はシズちゃんに嫌われてる。
僕もシズちゃんが好きじゃない。
でも、好きって感情は薄れて行くものだけど、嫌いとか憎いって気持ちって消えないものだよね?
僕はヒトを愛している。
愛=好き では等式が成り立たないかもしれないけど…
愛は好きより悲惨だ。
とても、とても。
愛した相手(ひと)から裏切られた時の心の痛手はきっと悲痛でしかない。
だから僕はヒトを愛す。
裏切りを前提として。
―そういう意味ではシズちゃんは別格だ―
僕はシズちゃんを好きにならない。
愛さない。
愛は儚いものだから…
僕の知り合いにとても純粋な男がいる。
彼は愛しい人の邪魔をすることになっても、その人が自分を愛するように動く。
それが正しいか悪いか、僕にはわからないけど、
僕は嫌だね。
そんな愛情なんて。
見てるのはおもしろいよ…
でも、たとえ愛故の裏切りだったとしても、僕は赦さない。
ポタッ……ポタッポタッ…
ザ―――――――――――
一気に降りだしたと思ったら、僕の躰はシズちゃんの腕の中だった。
『何やってんの…?シズちゃん…。』
『嗚呼!?雨降ってきただろうが。だから…』
言葉を遮り、僕はシズちゃんの胸を拳で叩いた。
『どうして…どうしてこんなことするんだよ!!』
僕のことが嫌いな癖に。
僕は今まで何時も(いつも)君に酷いことをしてきたのに。
君を好きになるのがこわくて…
こわくて…こわくて…。
なのに…!