小説

□相合傘
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「いいから見てて。」



気になってしょうがない疑問を投げ掛けようとしたが、かごめに強く言われてしまったためとにかく言われた通り前を歩く弥勒と珊瑚を見つめた。

傘を渡す役を命じられた七宝は、雲母と共に二人から少し距離を置いていた。



しばらく黙って見ていると、何やら弥勒が先ほど七宝が渡した傘を広げて、珊瑚とやけに密着しながら雨を凌ぎつつ歩き始めた。




「…ね?二人共いい雰囲気でしょ?」



「……なぁ、前もあれと同じもの使って似たような事させてなかったか?」



いつの事かは忘れたが、犬夜叉の頭には前方を歩く二人の姿が昔の記憶と重なって見えた。



「あれはまだ二人が夫婦になる約束する前の話でしょ?」



「…まぁ、そういえばそうだよな…」



「"アレ"が本当の、相合傘よ。」



「あいあい……かさ…?」



今日のかごめはやけに妙な発言や言葉を使ったりする。

犬夜叉の頭の中では?マークがいっぱいだ



「"相思相愛"って言葉は知ってるでしょ?」



…『相思相愛』

文字通り『お互いがお互いを愛すること』

簡単に言えば『両想い』だ




「要はその相思相愛の奴らが、ああやって一つの傘を二人で使うのを"あいあいがさ"って言うんだろ?」



「そうそう!!」



「…けどよ」



「…ん?」



「なんでわざわざあんな事するんだ?別に今さらやらなくても、アイツらは充分お互いの気持ち分かってんだろ?」



確かに犬夜叉に言う通り、弥勒と珊瑚の間には誰も立ち入れない絶対的な愛の約束事をしている仲だ。



だからこそ立てた珊瑚とかごめの計画である。




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