ハートの国のアリス

□私の世界
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また心を読まれた。
睨みつけようと、先ほどまでナイトメアがいた場所を見るが肝心の姿が見あたらない。

「ここだよ。」

後ろに回りこまれ、抱きしめられる。


「ふざけるのはやめて。吐血でもされたら目覚めが悪いわ。」
「ふざけては無いさ。それに今日は気分が良い、まだ吐血の心配はないさ。」

そんな事を言っているが、血色の悪い顔、青紫になっている唇。いつもと変わらない様に見える。
吐血の心配をよそに、軽く頬にキスをされる。
思わず声を出して怒りたくなるが、なんでもありと言ったのは自分だ。ぐっと怒りを抑える。
それ以外はせずにぱっと手を離しまたどこかにいなくなる。

「今はまだこれぐらいにしておくさ。」

本当に掴めない男だ。
キスされた頬を無意識に手で拭く。
その姿をアリスの後ろに現す。

「君は愛されてるではないか」
「そんな事ないわ。」

余所者、違う世界から来た者。
触れ合った人はみんなアリスの事を好きになっていく。
信じがたい真実だが、それのおかげなのか、アリスの性格のおかげか、この夢の世界に来てからも、知り合いが沢山増えた。
騒がしい毎日が過ごせるぐらいには。そのみんなの暖かさが心地良い。






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