ハートの国のアリス

□思い
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むしろ徐々に抱きしめる力が強くなる。
自分の心臓の脈が打つのが早くなるのがわかる。
多分ペーターにもバレている。

「ペーター…もう良いわ、離してちょうだい。」
「このままアリスをどっかに連れて行ってしまいたいです。」

アリスの肩に顔を埋めながらペーターが呟く。けして強くは無いが、絶対にアリスの事を逃がさない様に…。

「そんなの駄目に決まってるでしょ」
「分かってます。貴方は自由が似合う方た。だから貴方がこの国にいてくれるだけで僕は十分なんです…。」

ペーターがアリスの肩から頭を上げる。
そのガーネットの様な真っ赤な瞳。
寂しげな瞳がアリスをみる。
そんな眼で見ないでほしい、心臓が握り潰されそうだ…。
また肩に顔を埋める。白いふさふさの耳がアリスの後頭部を撫でる。

「僕の事を好きになってくれなくたっていいんです。」


そんなあなたを好きになってきてる私はなんなの?


「そんな事無いわよ、あなたの事最初にくらべると、少しは好きになってきたのよ。」
「…ははっ、嬉しいです。」

多分今眉間にしわを寄せながらも、頬を染めてはにかんでるだろう。
抱きしめる力が強くなる。






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