ハートの国のアリス


時間
2ページ/7ページ



もうどのぐらい待っているだろう。
待つと決め込んだ後、直ぐに真っ青だった空は、星と月の唄う時間になった。

この世界では当たり前な自分勝手な空。
砂時計をひっくり返せば時間帯が変わり、時計の塔の根暗で口の悪い、ユリウス・モンレーが銃を打てば時間帯が変わる。


最初にアレを見たときはビックリしたっけ…。


もう随分前の様に感じるぐらいにはアリスはこの世界にいる。
今じゃ時間がころころ変わったり、ずっとその時間帯だったりする事になれてしまった。
そんな世界だがもう6時間帯は変わった。


「本当に何やってるのよエースっ!」


思わず大声て叫んだ。
季節が無いとは言え、夜の時間帯になると流石に肌寒い。
テントの周りにあった、手近な薪を集め焚き火をしている。
ついでに、以前アリスの為などと言って、ご丁寧に用意してくださった毛布も拝借した。


こんなに手際よく焚き火が出来る女の子じゃ無かったのよ私。


無理矢理迷子と言う名の旅に何度連れて行かれたか。
いきなり草むらから現れ、そのまま旅に付き合わされたり。
酷い時など、誰かに追われてる時に手を引っ張られそのまま連れ去られた時もあった。


あの馬鹿、城の中でも迷うのよね。
城の中でキャンプをしているのを見たときは本当にどうしようかと思ったっけ。
焚き火までやっちゃって…
火事になったらどうするのよ…。
…そんな常識があの人達には無いのよね。


まるで自分の方が非常識では無いのかと思わせる程だ。
常識とは何なのか!
そんな事を説いたくなる。
自分がそんな性格では無いとは従順承知だ…。それでも考えさせられてしまうぐらい非・常識なのだ。

それにしてもただ待っているだけと言うのも疲れる。
時間帯は丁度夜。
睡魔がアリスを容赦なく襲う。


もう、こうなったら夢の中でナイトメアで時間を潰そうかしら…。


そんな考えを最後にアリスは瞼を閉じ、少しエースのにおいがする毛布を肩までかけ、意識を離した。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ