ハートの国のアリス
□空間
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「たまには遊園地にでも遊びに行ってくればどうだ?」
コーヒーを飲みながらユリウスが、アリスに言う。
引きこもりのユリウスに付き合っているわけでは無いが、アリスもここ最近最低限の範囲でしか外に出ていない。
別にそれが苦でも無かったし、気にもしていなかった。
そんなアリスを心配しての一言だとアリスは直ぐに気付いた。
「私は別にこの生活が嫌じゃないわよ。」
「そうか…それなら良いが…」
歯切れが悪い。
まだ何か思う事があるんだろうが、アリスは聞かなかった。
ユリウスも仕事に戻っている。
「やはりどこか遊びに行ったらどうだ?」
ユリウスが仕事の手を止めてまで声をかけてきた。
「どーして今日はそんなに私を外に行かせたいの?」
思わず言ってしまった。
いつもだったら、この静かな二人の時間や、少しの談笑を楽しむのに。
「ちょうど昼の時間帯だ…他の時間帯より安全だ。それに遊園地にはあいつもいるし、狂ったピンクの猫もいる…」
ユリウスから他な男性の事が出るなんて複雑…。
仮にもアリスはユリウスと恋人同士だと思っていた…。
「私あなたの仕事の邪魔した?」
「いや、そういうわけでは無い…。」
「あなた以外の男性と遊んでもいいの?」
うっ…と小さく呟いてから考えている。眉間には深いしわが刻まれている。
他の人といるよりあなたといたいのよ私は。
何て、思っていても絶対に口に出せない。
悩むこと数分…。