ハートの国のアリス

□思い
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白いフワフワの耳が私の足下を通って行く。

木の枝の上に座りながら、足下を通っていくペーター・ホワイトを、洗濯物を抱き抱えながら見ていた。

ボリスではあるまいし、別に木登りが好きな訳ではない。

折角綺麗に洗った洗濯物が風に飛ばされ、木に引っかかったのを、メイドさん達が止めるのも聞かず、木に昇ったまま降りられなくなっただけだ。

メイドさん達が梯子を取りに行っている間にちょうどペーターが通りかかったのだ。

ゲッ…よりによってペーター…。


もっとも見つかりたく無い相手だ。
そのまま通り過ぎるのを静かに待つしかない。
アリスがいる木の下を少し通り過ぎた所で止まった。
振り向き周りをキョロキョロしている。

眼があった。

「アリス〜あぁ、アリス!何をしているのですか」

見つかってしまった。
もっとも面倒くさい奴に見つかってしまった。
ぴょんぴょんと飛び跳ねながらアリスが昇っている木の下に来た。

「木登りですか?楽しそうですね!僕も一緒に昇りたいです!」

本当に今でも昇って来そうな勢いだ。






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