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□さぁ、愛に溢れたキスをしよう
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「さーかーいーさぁーん」
幼い声はあどけなさで溢れているが勘違いしないでほしい。
冒頭の言葉を発したのは25の立派な社会人の女だ。
ガキっぽいと思うか気持ち悪いと思ってくれ。
俺の好みとは180度異なるコイツと付き合い初めて2年近く。
今みたいになんでこんなのと付き合ってんだとか思いながらも一番長く付き合っている。
「うるせぇ。見ての通り俺は忙しいんだよ。」
「分かってるけど!堺さんに構ってほしいのっ!」
未だギャーギャー騒いでいるバカを一瞥して、酒でも飲んでるんじゃないかと怪しんだが、テーブルにそれらしいものはない。
もう無視を決め込んでさっさと完成させようとキッチンに向き直って、鶏肉を切り始める。
「だって2人同じ日に仕事がないんだよ!?
イチャイチャしたいじゃない!」
「じゃあ、言わせてもらうけどなぁ。
何食いたいって聞いてなんでよりによってパエリアなんだよ!
もっとパッとできるヤツならお前の望み通りイチャイチャできただろ。」
「自業自得だ。」そう最後に切り捨てて再度作業に戻った。
けど、言い返す言葉が浮かばないのか静まり返った。
それが逆に不気味だったりする。
すると控え目なスリッパの音がこちらに向かってきた。
「邪魔しないから傍にいちゃダメ?」
さっきとは打って変わってしおらしい態度に俺は窮した。
けれどこっちは包丁を持っていて、近くにいるのはやっぱり危ない。
「危ないからあっちで大人しく待ってろよ。」
頭を撫でて、ソファーを顎で差せば少しだけ眉間を寄せた。
「なんだよ。」
「子供扱いしないでよ。」
唇を尖らせて不機嫌さを露にするお前を子供扱いしないで、誰を子供扱いするんだよ。なんて思ったりもしたが、喧嘩になるのは目に見えていたからそれらを飲み下した。
「じゃあ、これでいいだろ。」
手は生肉を扱っていたから使えないからそのまま奪うように唇を重ねた。
また文句を言われても困るから反応を見守っていたら間もなく、これ以上にないくらい頬を緩めて笑いだした。
ああ、くそ。
そんな顔するなよ。
そういえば最近本当にお互い忙しくて構ってやってなかったな。
気が付けば俺は手を入念に洗って、未だに締まりのない顔をしているバカの腕を引き寄せた。
「料理は?」
「うるさい黙れ。」
「うわ、ひどい!」
「だいたい構えって言ったのはお前だろ。」
「さっきまではダメって言ったじゃない。」
「気が変わったんだよ。」
お前のせいだ。なんて思いながら「堺さん、だぁーい好き」と言った唇に自身のを重ねた。
「俺は愛してんだよ。」
唇を一旦放して、息を吹き掛けながらそう言えばまたあの笑顔を浮かべた。
―――どうやら俺はこの笑顔に弱いらしい。
今更なことを考えながら3度目のキスをした。
さぁ、愛に溢れたキスをしよう
言葉で伝えきれない分、キスで知ってくれ
あとがき
堺さん夢企画「Love Potion31」に提出させていただきます><
待ちに待った堺さんオンリー夢企画なので、参加できて嬉しいです(*´∀`*)
ちなみにパエリアに理由はありません!ww
それではお粗末さまでしたm(__)m
最後まで読んでくださった方々ありがとうございました!
2011/02/26/14:38
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