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□おいてきぼり
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「別に私は大介なんかいなくてもなにも問題ないし」
たったその一言
私の嘘偽りで固めた虚勢をこんな時に限って彼はストレートに受け止めた。
そしてひどく傷ついた顔を彼は隠すように俯いた。
「そうだよね......
あ、今日はこれが言いたかっただけだからもう帰るよ。
じゃ、じゃあね。」
焦って取って付けたような言葉を言うと大介は持ち前の駿足で帰っていった。
私はそれを自宅前で呆然と見送っていた。
うそ.....信じたの?
私が素直に言いたいことを言えない口下手だってもう何年も前から知ってるはずなのに大介、信じたの?
私の心にもない真反対の言葉を彼はいつだって翻訳して笑ってくれてた。
だから―――ということもあるのだろうけど今回もちゃんと翻訳してくれると思ってた。
おいてきぼり
“やだ、置いてかないで”
彼に疎の言葉が伝わらなかった。
当たり前だ。
私が発したのは彼がいなくても構わないという宣言だったのだから伝わるわけがない。
なのに私は伝わると信じていた。
彼に頼り切っていた。
もう....会えないの?
そう思った瞬間、静かに涙が頬を伝った。
それに手で触れて頭が涙だと確認できたらあとはただ流れ出るそれをそのままにしておくことしかできなかった。
いつか住む世界が違うと認識する日がきたとしても彼の隣にいたいと願ってたのにそれは呆気なく破れて霧散してしまった。
「ふっ.....ううっ、だいすけぇ.....」
呼んだって彼はもう戻ってこないのに私は譫言のように繰り返し彼の名前を呟いた。
門柱前に蹲って止まらない涙を腕で押さえ付けていると足音が聞こえた。
ランニングにしてはペース配分が早くて違和感を感じて顔を上げたら大介が走って戻ってきた。
私にはそれが理解できなくて涙を止めて惚けた。
「俺の勘違いかもっ知れないけど、さっきの、よくよく考えたら一緒に来るっていう意味....?
あ、いや、自惚れたこと言ってるのは分かってるんだけど、いつもの会話思い出したらそうなんじゃないかなって思って......」
全速力で走って少し息が切れ始めているはずなのに大介はおどおどと手振りをしながら自分の考えを言った。
それは私が散々期待していた翻訳で正解だった。
「気付くのが遅いよ!」
「うっ、えっご、ごめん!」
私の素直になれない逆ギレにビビって吃りまくる大介に本当に申し訳なくなった。
「ま、まぁ.....大介の私生活が心配だから私も上京してあげないことはないけど」
自分でも分かるくらい顔が赤くなっている。
大介は私の発言にこれ以上にないくらい驚いた顔をした。
けれどそれはすぐに擽ったそうに、だけど嬉しそうな笑顔に変わった。
あとがき
椿くん上京前のお話(´ψψ`)
そしてツンデレヒロインwww
ここまでツンデレらしいツンデレは初めて書いた気がする(´∀`)
ツンデレの本心を読み取るのが上手い椿くんっていいなと思ったんです!
更に今回はタイトルを真ん中に置くという今までとは違ったスタイルにしてみました。
いかがでしょうか?
あの場だけだと悲恋に終わる感じですけど最後は切り返しましたねwww
椿くんの口調って意外に難しいですよね←
2010/12/09/01:26
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