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□唇の熱を唇に
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さらり、
私の髪を摘んでは放し、摘んでは放しと繰り返して遊んでいる持田さん。
「どうしたんですか?」
「んー、別に。ただ俺、悠の髪好きなんだなって思っただけ。」
そう言うと持田さんは私を後ろから抱きしめて顔を私の髪に埋めた。
そして私に知らしめるかのようにゆっくりと呼吸を始めた。
それはまるで髪の匂いを嗅ぐかのように
「あー、ヤバい。これハマるかも」
私の後頭部にキスをして持田さんが耳元で囁いた。
「そんなにいいですか?
というより臭くないですか?」
「すげぇイイ」
わざと声を潜めて言われて私の心臓はどくん、と鳴った。
「つーか、毎日風呂入ってんだから臭いわけねぇじゃん。
むしろシャンプーと悠の汗がイイ感じに混ざっていい匂いだぜ?」
若干マニアックな気がしたけどこの際置いておこう。
私の後ろでさっきからずっと髪に顔を埋めたり、匂いを嗅いだり、キスしたりと好き勝ってやっている持田さんは今どんな顔をしているんだろう。
そう思ってから気が付いた。
こんなに近くにいて、こんなに構ってもらってるのに私―――寂しがってるんだ。
「中毒になりそう....つか、なったかも」
「いや」
「はぁ?」
けらけら笑った持田さんは私の拒否の声を聞いて素っ頓狂な声を上げた。
「わ、私は持田さんの顔が見えないからい、やです。
絶対、中毒にな、んてならないでください.....」
声が震えた。私、今にも泣きそう。
だいたい私、自分の髪に嫉妬してるってどういうこと?馬鹿みたい。
こんなに好きだって言ってるんだから素直に喜べば良いのに持田さんの顔が見れないくらいで、寂しくなって泣きそうになるなんて.....
持田さんも呆れてるんじゃないかな。
視界がぼやけて頭の中もぼんやりと悲観的になりだした頃、急に体を回転させられた。(摩擦で足がひりひりする)
「かわいいこと言ってくれるじゃん。」
やっと見ることができた持田さんはにやにや笑っていた。
小馬鹿にした顔だったけど嬉しかった。
「持田さん、」
持田さんの膝に手を乗せて、彼の様子を窺う。
「なんだよ。」
いまだにやにやしている持田さんは私がなにを求めているのか分かっているんだろう。
「髪だけじゃなくて口にもキスしてください。」
「仕方ねぇな。イヤってほどしてやるよ。」
にやりとほくそ笑むと持田さんは私の頬を撫でてその感触を堪能すると、ぴたりと手を止めてさっきまで髪にしていたのと同じキスを彼自身が飽きるまでしてくれた。
唇の熱を唇に
移して、
じゃないと顔が見えなくて寂しいの
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