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□来週あたり
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※学パロです
今日こそ.....今日こそ言うぞ、俺っ!
日曜、運動部は休日でも部活がある。
そして俺の入ってるサッカー部も例外なく1日を練習に注いでいた。
サッカー場入り口で一人、拳を握り締めて何十回目かの決意を胸にしていた。
「あ、世良じゃん。」
幾度となく聞いた声に肩が跳ね上がった。
勢い良く振り返った先にはこれまた見慣れた姿があった。
「おはよ。」
いつもみたいに目を細めて、歯を見せながら明るく笑う姿に俺の心臓がどきりと大きく脈打った。
「っはよ!」
せっかく気合いを入れてたのに本人を見たらパニックって上手く喋れない。
情けねー俺.....
「さっきガッツポーズしてたっぽいけど、なにかいいことでもあった?」
「えっ!あ、今日も天気いいから頑張んばるぞって思って、つい....」
苦しいすぎるっ!
心の中で顔を顰めて自分の発言に辟易した。
「確かに今日はいい天気だよね。まぁ、寒いけど」
マフラーの位置を直して笑う姿が絵になっていて思わず見とれた。
可愛いのは十分解ってるだろ!
そんなことより今は告白しないと!
もう何週間も前から決意してタイミングを窺ってたけど、いざ言うぞ!って時になると俺のチキンハートはその場から逃げ出していた。
今日は呼び出してでも言ってやるって考えてたところに向こうからやってきたんだ。
今言わないでいつ言うんだ。
きっとこれは毎日奮起する俺への神様からのお告げに違いない。
「あのさ、」
「あ、そろそろ時間になっちゃう。」
相性バツグンって言いたくなるほど俺達は同時に全く別の切り出し方をした。
「今、なんか言おうとした?」
「な、なんにもっ!大丈夫、気にしないで。平気だから!」
小首を傾げながら申し訳なさそうに眉尻を落とす表情を見て俺は慌てて否定した。
そこはあるって言えよ!
チキンすぎる自分にもう一人の自分がすかさずツッコミを入れた。
今のは反則だった。
可愛すぎてなんにも言えなくなってた.....!
「張り切りすぎて怪我とかしないようにね?
実はあたし、世良が練習するところ見るの好きなんだから。
練習中の楽しみがなくなっちゃう。」
そう言いながら彼女ははにかみながら笑った。
ああ、可愛いな。なんて何度目かの再確認をしてると捲くし立てるように「じゃあ、頑張ってね。」と言いながら彼女は校舎に向かって行った。
その背中を呆然と見送りながらも都合のいい俺の頭は、自動的に“世良が”と“好き”を勝手に繋ぎ合わせて『世良が好き』というフレーズを脳内でリピート再生していた。
今にも喜びに任せて叫びまわりたい!なんて感動に浸った。
幸せすぎる。なんかもう練習とかどうでもいい。とにかく今は喜びに任せて芝生の上をごろごろしたい。バク宙も今ならできる気がしてきた!
いやでも待て。なんか大事なこと忘れてね?
「あ!結局言おうって思ってたのに言ってねぇー!俺のバカっ!」
口から出てきた叫び声は喜びじゃなかった。
そして俺は叫んだのと同時にグランドに入って走り回った。
くそー.....!!!
すっかり気ィ取られてた!
うん、あれだ。大丈夫。まだ時間はある!次こそ頑張れ!
来週あたり
絶対「好き」だって言ってやる!
あとがき
GK企画「君はボクの期待を裏切らない」に提出させていただきます!
初世良なんで口調とか誰コレ?状態ですけどお許しください><
告白しようしよう言っていつも先延ばしにしてしまうヘタレな世良可愛いと想ってます(´ω`)
企画参加させていただきありがとうございました!
2011/01/13/03:21
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