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□ビターテイスト
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※社会人パロと思って呼んでください(><)
「ちょっと外出てくる。」
タバコと缶状の灰皿を手に良則はベランダに出た。
昔、一家全員がタバコを吸わない人間だと言った時から良則は私に気を遣って室内で喫煙することを止めた。
突然始まったその習慣に最初は首を傾げていたけど、それが私のためと知った時は嬉しくて一日中にやけてた気がする。
「ねぇ、良則ー」
「なんだよ。つーか、来るなよ。
人が気を遣ってやってんのに....」
眉根を寄せて不機嫌な顔をしながらもタバコを持っている手は灰皿へと向かい、火を消して灰皿の中へ吸殻落とした。
「いいの。まだ赤ちゃんがいるわけじゃないし」
「お前なぁ.....」
溜め息を吐きながらメガネのブリッジを押し上げる良則の姿は何度見てもかっこいい。
しかも緩めたネクタイという素晴らしいオプション付きだ。
これだけでも私の体温は上昇する。
「気を遣ってくれるのは嬉しいけど寒い中外になんかいたら良則が風邪引いちゃうじゃない。
それで寝込まれたら申し訳なくて仕方ないもの。」
にこりと微笑めばまた溜め息が一つ零れた。
「そんなヤワじゃねぇよ、バカ」
ふわりと香ったのはタバコの匂いだった。
タバコは臭いがきつくて好きになれないけど良則から香るのは嫌いじゃない。
乙女みたいな理由だけど事実なんだから仕方ない。
「そうだね。良則は頑丈だもんね。」
広い背中に腕を回せば良則が抱き締める力を強めた。
「なんかバカにされてる気がするのは気のせいか?」
「気のせい気のせい。」
くすくす笑いながら返せば軽く頭突きをされた。
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