バツ♀クラ

R15位です。大丈夫でしたらどうぞ!↓









「…何で女の子って、隠してんの?」

彼女は最初綺麗な瞳を大きく見開いて、その後悲しそうに笑みを浮かべて言った。

「どうして…だろうな?」

その笑みが胸にチクリと刺さる


泣かないで
そんなに悲しそうな顔をしないで
ねぇ、笑って…


『桜萌黄』


気付いたのは本当に偶然だった。たまたま一緒のテントになって、遠慮なしにガバリとテントを開けたら丁度彼女が着替えをしていたところで、平たいとは言え、男性にはない女性特有の胸の膨らみを見てしまったのだ。
固まる俺に「誰にも言わないでほしい」そう言って、彼女は泣きそうな顔をして俯いてしまう。俺はもちろん「誰にも言わないよ」そう言って指切りげんまんで約束。

最初は気にしないようにしていた。しかし気付いてしまったら最後、気持はどんどん加速していく。もともと気になっていた相手だけに女性だったとわかって、更に自分だけが持っていると言う秘密に胸が高鳴った。

気持ちを伝えて、彼女も答えてくれた。女性として扱われるのは苦手だから、普段通りにしてくれと言われその通りに接する。仲間にも似たようなのがいた様な‥そんなあやふやな記憶に苦笑しつつ、一緒に過ごす時間がとても心地よかった。

女性は大変だな。そう感じる時がある。男にはない、月の物だ。女性ばかりと旅をしていたことが初めて功を制した。彼女は初めてのことで、しかもきちんとした知識も無く。怯えて自分を頼ってきだ。
もちろん、仲間達から嫌というほど知識を教え込まれたのでその辺は優しく教えてあげた。離れないと言って服の裾を掴んで来た時は色々と葛藤が凄かったが、そこはまあ何とか。
そのあとが問題だった。

「なあ、最近クラウド機嫌悪くないか?」
「さあ?それより、さっきライズしたアイテムなんだけどさ〜」

ジタンの言葉にわざと興味が無いように応える。本当は、彼女の事でいっぱいなのに。
バッツは手にしたアイテムをくるくると指先で回し、フリオニールの背後。セシルと何かを話すクラウドへと視線を送る。最近、ずっとこうだ。
以前までは自分から近付いたり、彼女から近付いてきてくれたのに。距離を置かれている。
仲間に「クラウドは女の子で俺と付き合ってんの!」と言えたら、どれ程楽だろうか。
本当は他の男と話して欲しくないし、自分がいないところなんてもってのほか。二人きりで、以前のようにぴったりくっついて、キスをしたい。
でもそれは、今のクラウドが望まないことだ。
バッツは溜息を吐きながら、漏れた溜息と共にゆっくりと瞳を閉じた。
だから気付かなかった。クラウドが、バッツの方へと寂しそうに視線を向けていることに。

皆が寝静まった後。バッツはどうしても眠ることが出来ず、水浴びでもするかと湖に向かった。ティーダが見つけた、木々に囲まれた綺麗な湖だ。広さはそれ程無いが、中心迄いけば、バッツの腰程までの深さがある。
服を脱ぎ捨て、冷たい水にゆっくりと身体を沈めて行く。鎧を着ている面々に比べれば、それ程汗やほこりは気にならないが、出来る限り清潔にはしておきたい。

「‥あーあぁ…」

水が跳ねる。髪をぬらし、ガシガシと手で擦り、頭迄潜る。そうして、持ってきたタオルで身体を洗い、伸びをする。
近くを小さな魚の群れがすいすいと泳いでいき、水草が優雅に揺れる。
この場所は静かだ。どうせだれもいないのだからと、両手を頭の後ろにして水に浮く。

クラウドの気持ちがわからない。どうしたら、もう一度笑ってくれるのだろうか?

「‥クラウド。」

他の皆がどうしてクラウドの事を女性だとわからないのかが、バッツには理解が出来ない。
確かに彼女自身男性の様に振舞っているし、胸だってサラシを巻いて潰している。
でも、抱きしめれば女性独特の柔らかさはあるし、綺麗な香りだってする。キスをするとふわりっと笑みを零し、抱き上げた時の身体はとても軽い。

「あーもうッ!どうすればいいかなー!」

水から上がろうと振りかえると、そこにはクラウドの姿があった。

「‥クラウド?」
「すまない‥俺だけだと思ったから!」

声を掛けるとクラウドは逃げるように踵を返し、立ち去ろうとしてしまう。

このままでは逃げられてしまう‥

バッツは急いで湖から駆け上がり、クラウドの手を取る。そうしないと、気持ち迄も一緒に離れてしまいそうだったから。

「ちょっと待てって!何で避けるのか‥」

そっとクラウドの身体に腕を回せば細くて綺麗な指がからんできた。
バッツの言葉に驚いた様に肩が跳ね、クラウドは俯いてしまう。

「‥教えて欲しいんだ。」

自分の何かが彼女を傷つけたのなら、謝って。謝り倒してでも、もう一度彼女と一緒にいたかった。悪い所は全て治す。だから、どうしても彼女に笑って欲しくて。

「教えて?」

クラウドは応えない。代わりに。クラウドの手は、バッツの手を強く握った。まるで、離したく無いかのように。そこでようやくバッツは疑問に思った。
何故クラウドは嫌がらないのだろうか?と。

「‥クラウド?」
「は、離してくれ!」

強く言いながらも、クラウドは自分から離れようとは思わないらしい。むしろ縋る様にバッツの手を強く、強く握る。

「でも、離して欲しくなさそうだぜ?」

出来るだけ刺激しないように言えば、クラウドが涙で潤んだ瞳でバッツを見つめてきた。
今にも泣き出しそうな、必死に何かを伝えたそうな。そうしてそれは哀しみではなく。

「クラウドさ、俺にくっつかれるの嫌か?」
「‥っわからない。でも、怖いんだ。」
「怖い?」
「バッツが、男の人なんだと思ったら、俺とは違うと思ったら‥怖くなった。」

そこでようやくバッツは気付く。そう言えば、自分は男でクラウドは女性。恋人とは言え、共に闘う仲間であり、今まで一度も肌を重ねたことが無く、先日ようやく初潮を迎え、女性としての認識が出てきた彼女。

「クラウド‥俺、ヤバい」
「何、が?」

よく考えたら、自分は素っ裸で彼女に抱きついてる。それなのに彼女は無防備で、キスをすれば嫌がりもせず応えてくれる。
重ねるだけのキス。それだけでは物足りなくて、舌をいれて破裂をなぞる。すると、理解したようにクラウドは唇を開いて。自ら舌を絡めてきた。

「な、クラウド?」
「‥うん?」

キスの合間、正面からクラウドを抱きしめたバッツはそっと細みのその身体を地面に倒す。
クラウドは最初こそキョトンっとしたように瞬きをしていたが、次いでその意味を理解したらしい。

「ば、バッツ?!」
「うん。俺、我慢できない。クラウドがめちゃくちゃ好きだから!」

クラウドの服のファスナーをゆっくりと降ろしていく。白い肌があらわになっていく度、バッツはいつ拒否されるのだろうかと不安で仕方なかった。全て降ろし終えると、真白なサラシが目につく。

「これ、とるな?」

クラウドは応えない。だが、バッツはスルスルとサラシを解いていく。クラウドはその行動を見守りながらも、邪魔することなく見つめていた。
一つずつ、慎重に。時折クラウドの身体を移動させながら。バッツはクラウドが纏う全ての衣服を脱がせる。すると、クラウドはおずおずと手を伸ばし、自分を見下ろすバッツの首に腕を絡め溜息を吐いた。

「傷だらけ‥だろう?」

クラウドの言葉にバッツは何も言い返せなかった。
戦いの傷だろう。無数に残る傷跡。もっとも酷いのが腹部に在る、刀傷。
彼女が必死に何かを守って来た証だ。

「傷なんて関係ないよ?」

バッツの手が、怯えた様に自分を見上げるクラウドの頬を撫でる。すると、溜まっていた物を吐き出すように、クラウドの瞳から涙が一滴流れた。

「俺も、バッツが好きだよ。怖いけど、でも‥バッツに嫌われるのはもっと怖い。」
「クラウドッ!」

どんな思いで、彼女は男性として生きてきたのだろうか?
どうしてもっと早く出会えなかったのだろうか?

守って、あげたかった‥

時間を埋めることはできない。それは、彼女の生きてきた全てを否定することになってしまうから。
だからせめて。包みこもうと思った。

今まで生きてきた彼女ごと、男性だった頃のことも含めて。全て‥

もう、何が何だかわからない。それが、正直な感想。

初めて重ねた身体。互いに経験が多いわけではないく、クラウドなんて初めてだ。
それでも、痛みを伴いながらも互いに繋いだ右手だけは離さず、何時しか胸に溢れるのは『恐怖』を勝る『愛しさ』だった。


「‥ライトに怒られる。」
「平気平気!」

二人で湖に浸かりながら、今後に関して話す。
一度空いていた距離。今では、二人の気持ちを再確認させることとなったので、別段悪いことばかりではなかった‥。

「クラウド。もう、さ。男の子やめないか?」
「‥別に俺は」
「戦士をやめろとは言わない。でもさ、クラウドにはティナみたいに。女の子とし生きててもらいたいんだ。駄目‥かな?」

バッツの言葉にクラウドは俯いてしまう。バッツの言葉はつまり、皆に自分が女性だとハッキリ告げて欲しいと、そう言っている。

「今更だけど。俺はみんなに、クラウドが俺のお嫁さんだって、自慢したいんだ。」
「よ、嫁?!」
「だってそうじゃん。もしかしたら、ママになるかも知れないんだしさ〜」

笑いながらバッツはクラウドの下腹部を撫でる。意味を理解したのか、クラウドは真赤になりながら顔を俯かせてしまう。

「大丈夫。クラウド、一緒‥だからさ?」
「‥わかった。」

そうして二人は湖から上がり、身体を拭くと野営地へと向けて歩きだす。勿論、しっかりと手をつないで。
空を見上げるとそろそろ陽が昇りそうだ。早いメンバーはそろそろ起きだす頃だろう。
クラウドは一瞬戸惑ったが、サラシはバッツが燃やしてしまった。そわそわと辺りを気にしながら、バッツの手をギュッと握った。


その後。当日早めに起きていたジタンの悲鳴が辺りに響くのは、もう少し後の話。








********

\(^o^)/
色々とごめんなさいッ
ラブラブバツクラが書きたかったのですw

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ