アリガトウゴザイマス。
□11月26日。
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「重いんだけど」
その言葉にも反応を示さず、静かに寝息を立てるリーダーに目線を向ける。
今までだって、何度も見てきたその顔が何故かいつもと違って見えて。
そう思った途端にどくんと心臓が強く鳴り始めた。
“男は30を過ぎてからいい男になる”と事務所の先輩が言っていた言葉を思い出して、その意味が分かったとは思わないけれど。
少し痛んだその髪にゆっくりと手を添えてみた。
一瞬、薄く目を開けたもののすぐに閉じて口の端を少し上げてふわりと笑う彼を、俺の一部に出来ないだろうかと。
本気で強く願った。
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