イロンナハナシ。

□風の声を聞いて。
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「う゛ぅ…気持ち悪い…」


只今、船に揺られ死にそうです。


間もなく御蔵島へ到着しますとアナウンスが流れ、この地獄の様な8時間が終わろうとしている。

余りにも酷い揺れに一睡も出来なかった。
同じ東京なのに遠すぎる。


「帰りはちゃんと酔止めの薬買おう…」

ふらふらの足取りで船から降りる。
深呼吸をしてカバンから地図を広げ目的地を確認。


「確かここから近いはず…」

地図を見ながら独り呟く。



この島に来たのには理由がある。



俺は東京で新聞記者をしている。

1ヶ月半程前、文化面をリニューアルしようと会議の議題に上がり、開口一番、「大野智を特集しませんか」と提案した。





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