アリガトウゴザイマス。
□11月26日。
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綺麗だな…
その時、突然頭に浮かんだ言葉はそれで。
しかも、十数年一緒にいるそいつに。
ただ漠然と綺麗だと、そう思った。
機材の故障で収録が中断した俺達は一旦、楽屋に戻る。
5人集まっていても特段、会話はせず一人は新聞を読んで、もう一人は雑誌をパラパラと捲り、いつも煩いあいつもドラマの台本を読みながら独りブツブツと小さく呟きながらセリフの練習をしている。
俺はと言えば、みんなから離れたソファーに座り、トランプを弄りながらもマジックの練習をする気にもなれずにいた。
「ねみ〜」
ふゎぁと大きな欠伸をしながら、膝貸してと言うリーダーが俺の足を枕にして眠りだした。
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