アリガトウゴザイマス。
□8月30日。
1ページ/7ページ
誕生日当日はドラマの撮影。
まぁ、コンサートもあって忙しいから、誕生日だからってオフになるとは期待してないけど。
共演者やスタッフからお祝いしてもらって、気分は上々。
鼻歌まじりにマンションのエレベーターに乗り込んだ。
あと数十分で日付が変わる。
エレベーターから出るとすぐにカバンの中にある部屋の鍵を探しながら廊下を歩く。
人の気配を感じる…
そう思ってカバンに向けていた視線をその方向へと動かせば、ドアに凭れかかるように翔くんが座っていた。
「え…?」
何でいるの?
小さく呟いた俺の言葉は彼に届かなかったけれど、近づく足音には当然気付いてこちらを向いた。
「お疲れ」
いつもの爽やかなあの笑顔を俺に向け立ち上がる。
「…お疲れ様」
.