アルファ・α・ストーリーズ

□番外編 幻影×幻想
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side:fntasy
一方私立想空学園では…

芽「あ、蒼矢!今お弁当からさりげなく肉団子取ったでしょ!」
蒼「え、………」
芽「バカー!!」
青空の下の屋上にて、お昼ご飯タイムとなっていた。
はしゃいでいるのは、keymanである朝日奈 由芽。そんな由芽を制御しようと頑張っているのは、
蒼「そんなことしてませんよ。てかいい加減に食べるのやめてください姫君。…もうすぐ、昼休みが終わりますよ!」
将来、由芽のような『幻術師』になりたいと思って変人由芽に弟子入りした、ある意味1番の変人――花沢 蒼矢の2人。
ちなみに。
蒼矢は弟子入りの際に、
『執事としての職務も果たす』
と誓った(無理矢理誓わされた)ため、今や由芽にいいように使われる、いわば雑用係のような役となっていた。
となれば、同じ学年同士でも、確かな格差ができるわけで。
芽「蒼矢!この問題わかんない!」
蒼「はいはい姫、どの問題ですか?」
芽「蒼矢!あとでホットケーキ作って!」
蒼「はーい、分かりました!!」
……このように、蒼矢は『本物の執事』っぽく扱われていた。
もちろん由芽も、ただこき使うだけじゃない。
蒼矢にちゃんと、少しずつ幻術を教えている。
最近は蒼矢の魔力の調子がいいため、
由芽が突然課題を出しても、こなせることが多くなっていた。
魔力を持つ人間が集まる中でも名門校として知られる想空高校。
その中で、いつもトップなのは由芽。
そして。
蒼「ほら、もうそろそろ教室に行きますよ!」
芽「えー……」
蒼「えーじゃありませんよ!勉強も体術も幻術もマスターしたヤンキーになるんでしょう?!」
芽「もう全部で1番とってるもーん」
総合成績のトップも、由芽だった。
しかし、由芽と蒼矢が真剣に言い争いを始めたその時……
蒼「そういう問題じゃ……って、ん?」
芽「ありゃ?」
ばるるるるるんっ!!
何故か、バイクの音が近づいてくる。
コロネリアの世界でバイクに乗っているのは、警察官の、それも上層部の人間だけとなっている。
芽「お偉いさんがウチの高校に、何の用だろう」
蒼「さぁねぇ。でも、姫には関係無いですよ絶対に。ほら教室に、」
芽「ちょっくら偵察、いってきまーす!」
蒼矢が由芽の腕を掴み、教室に連れ帰ろうとするが、所詮弟子は弟子。
由芽は蒼矢の腕をすり抜けて、屋上から校門に向かって飛び込んでいた。
蒼「ひめーっ!!」
思わず蒼矢は由芽に手を伸ばす。が。
芽「だいじょーぶっ!」
心配をよそに、由芽は屋上ダイブを成功させる。
綺麗に着地した由芽は、
芽「蒼矢ーっ!はやくこーいっ!」
そう言いながら屋上の蒼矢に手を振ると、校門の方へ走り出した。
多分、そのまま校門も飛び込えるつもり。
蒼「あーもーっ……」
蒼矢は一つ、大きな溜息をつき。
そして。
蒼「とりゃあっ!」
自分も屋上から飛び降りて、師匠の後を追った。
蒼『なんで俺まで高い校門を越えなけりゃいけないんだよ』
なんて心の中で呟きながら。
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