短編

□苦しいか狂しいか
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痛い、痛い

壊れてしまう‥





苦しいか狂しいか









『時間すぎた‥』


今日の夜は仕事だった



思ったより長引いた、彼との約束の時間が過ぎてしまった



それが恐怖で仕方ない



『仕事だから仕方ないよね‥』



私は急いで彼の家に向かった



行きたくないのに来てしまう


いつもの悪循環、躯はいつも震えている



ほら、ついてしまった



合い鍵を使ってなかに入る


ーあれ?電気ついてない?


もしかしたら寝たかもしれないという期待が膨れ上がった


『はぁ』


思わず安堵の溜め息がこぼれた



『おかえり』



後ろから声が聞こえた、恋人の声


聞こえたと思ったら背中に衝撃が走った


『はっ‥』



気付いたら床に倒れてた


ーそうか、蹴られたのか


瞬時に理解した

なぜかどうでもいいと思っている自分がいる



『なんで遅かったの?』

暗闇で普通に話してくるのが恐怖を掻き乱す



『あっ‥し、ごとっぁああ!!!』



背中に蹴りが落とされる何度も、何度も



『他の男と遊んでたんだろうがっ!?』



ーバシン


部屋に頬と手の平がぶつかる音が響く


何回も、何度も



そのうち音は変わった


ゴス、ゴスとなんともいえない音



ーどうして信じてくれないんだろう

私にはあなたしかいないのに


だから蹴られたり、殴られたりしても耐えてるのに



どうしてなんだろう


疑問は続く


痛いのに痛くない



ああ、そっか 狂ってるのか‥



『あっ‥?』



気付いたら音は鳴り止んでいた


彼が泣きながら私に抱きついていた



『ごめんっ‥ごめんなっ‥』


そのあとも必死に続く謝罪



私はこれがあるから彼から離れられないのか




この関係は終わらない



彼が私を殺してしまうか、私が彼を殺してしまうか



結末は二つしかない



その結末まではこの温もりを大事にしたい




あったかい‥



あっ‥キレイな首だな


『さようなら』




どうせ狂ってるんだ


あなたの首に手をかける





END

あとがき


暗い、今回は割と話がわかりやすいと思います


前回のやつは意味不明でしたよね、スイマセン

 

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