短編

□気まぐれに
1ページ/1ページ



好きになってみよう


そう思っただけ





気まぐれに






ふと思ったんだ


人一倍寂しがり屋の君を俺に執着させたらどうなるかって‥



だから好きになってみよう



大嫌いな君を



俺に溺れさせて、執着させて、依存させる




そして突き放す




なんて愉快な遊び!


君の瞳は絶望に満ちるんだ!



さぁ 始めよう!

君と俺だけの時間を‥!


『好きだよ』



ほら、驚愕したその瞳



なかなか滑稽だよ




ほら、溺れさせてあげるよ


少しピンクに染まった頬


気色悪い。



まぁ 仕方ない

俺の最高の遊びのためだ


『私も‥』



小さく吐き出された言葉


ふふふ‥はやく俺と遊ぼうね




それから彼女と長い間いっしょにいた


案の定、彼女は俺に依存した



はは‥可愛い俺の玩具




そろそろバラバラに壊してあげる‥



『ねぇねぇ!私の話聞いてる!?』


『せぇ‥』


さぁ 始まりだ


『うるせぇよ』


冷たく睨む


『っ!?』



ひどく怯えた目



『お前のことなんか嫌いなんだよ』


『ど‥し、て?』


ふふ‥今更だね


『お前が嫌いだから』



『ひ、どい‥』



あーあ‥泣いちゃった



ほんとブサイク‥


死ねばいいのに



『だからぁ‥消えてよ』


『‥っ!?』



『俺のこと愛してんでしょ?俺の目の前で死んでよ』



『‥‥』


虚ろな瞳の女はフラフラと歩き出した




あれ?逃げ出した?





女はフラフラと戻ってきた


片手に包丁を持って



そして勢いよく自分の胸へと振り下ろした



『Let's start the show』



END
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ