短編

□悲鳴と悲痛
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壊れた、君が


僕が壊した






悲鳴と悲痛







君が好きだった


すごく好きなんだ



狂おしいほどに、愛しい‥



好き、愛している




言葉じゃ現せないほどに

君が好きなんだ



でも僕は知らない


愛の現し方を


君が好き。すごく好きなんだ


どうすればいいの?


愛情はどうやったら伝わるの?



わからない、分からない、解らない、判らない、ワカラナイ



わからないんだよ



でも君のことを愛してる


誰にも見せたくない、見られたくない





そう‥だから君を閉じ込めた





そうすれば僕だけの君だ



愛してる、アイシテル

誰よりも




いつしか僕は君に暴力を振るうようになった



段々と弱っていく君


大好きだった瞳は今は何もうつさない



僕を見てよ、僕だけを見てよ



『どうして僕を見てくれないの‥?』



ぱぁん、痛々しい音が響く


君を殴る音だ



それさえ僕は愛おしい



『ねぇ‥僕を見てよ』



何回も何万回も殴っても君は僕をみない



『いらない、君なんていらない』


そばにあった鋏を手に取る



『君なんていらない』



綺麗な鮮血が飛び散った


ああ‥なんて綺麗なんだ



『ああぁあああぁぁあああああ!!!!』



響く痛々しい悲鳴




すごく心地のいいものだ‥



『痛い!痛い!!』



彼女は狂ったように叫ぶ


僕をその瞳にうつす



今更‥遅いよ



『いや‥死にたくない、死にたくないよ‥っ』




大粒の涙を零す



今はそれすら汚らわしい



『ねぇ‥苦しい?』



最大級の笑顔をつくる




『楽になりたい?』




悪魔の囁きのように






『これ貸してあげようか?』





甘く、妖艶に








『楽になりなよ』




ーザシュッ





彼女の首から鮮血がもれる




血の色は本当に真っ赤で綺麗だ




『く、はははっ‥ははははははははははは!!』





可笑しい、可笑しい



愉快だ!



バカみたいに笑える




『ははははははははははは‥‥っ』



笑えるんだよ


なのに‥



なんでこんなに胸が痛いんだ‥!


おかしい、僕が、おかしい


狂ってる



彼女が好きだった



彼女が狂った



だから殺した



違う




狂ってるのは僕だ‥


悲しい、苦しい




『あああああぁああぁあああああぁああ!!!』



狂ってしまおう



そうすれば何も感じなくなるから



おかしくなりたい、


ああ‥



涙がとまらない



END
 

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