スキビ!
□天上の星と遥かな海
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「案外ね、身長差有ると視線って合わ無いもんなんだよ?」
「そうなんですか?」
「うん。それが良く合うって事は、京子ちゃんはそれだけ強く意識して、俺を見上げて見つめてるって事」
可愛いよね〜?
にこにこと城崎は笑う。
「得に…意識はしてませんでした。だって、恋人同士だったら普通の事でしょう?」
見上げる事も見詰める事も、目が合って微笑む事も全部が全部蓮と交わす事。
自然に目で追う。
目が合えば嬉しい。
彼の目は私には多くを語るから、見つけてあげたい。
どんなに小さな感情でも。
そんな気持ちが演技にも反映されていた。
「空の星がキラキラ色々な色に輝いてたら、次の瞬間にどんな色に瞬くかちゃんと見ていたいもの」
「…彼は天上の星?」
「えーと…。星…でした。今も手を伸ばして追い付きたい気持ちに変わりはありません……でも…」
キョーコにとって夜空の一等星のような存在だった蓮。
その蓮が、キョーコを抱きしめ、たくさん持っていた負の感情を溶かしてくれた。
「今は……海、かな」
ああ…
このグラス、蓮さんみたいなんだわ−−−。
様々な色で輝いてはキョーコを優しく包む遥かな海。
「大好きなんだ?彼氏の事」
「はい!!」
城崎の問いに躊躇い無くキョーコは答え、手の中の海がキラキラと瞬いた。
「京子ちゃんの彼氏が羨ましいよ」
城崎は見込みナシ…と落胆しつつも、キョーコの真っ直ぐな感情が眩しくて、苦笑うのだった。