POEM
□他と私
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私が怖れたものは
まっくろな塊で
包丁の研がれる音で
絶え間なく叩かれる扉で
独りぼっちの暗闇で
無力な自分自身でした
私を救ったものは
無色透明な不純物で
窓が割れる音で
優しく背を撫でる手で
穏やかに優しい声で
勇敢に立ち向かう心でした
私の愛したものは
あたたかな家で
いつも通りの平穏で
平穏をもたらす因子で
光あふれる日向で
手元にあった当然でした
ああ なんて恐ろしい
二度と経験したくない
ああ なんて格好良い
大切なことは私の胸に
ああ なんて愛おしい
私を愛してくれる人々よ
私に与えられたものは
理解不能な恐怖で
一瞬の救済で
心地の良い愛情で
ほんの少しのきっかけで
当たり前に溢れる幸福でした
他と私