POEM

□他と私
1ページ/1ページ


私が怖れたものは
まっくろな塊で
包丁の研がれる音で
絶え間なく叩かれる扉で
独りぼっちの暗闇で
無力な自分自身でした

私を救ったものは
無色透明な不純物で
窓が割れる音で
優しく背を撫でる手で
穏やかに優しい声で
勇敢に立ち向かう心でした

私の愛したものは
あたたかな家で
いつも通りの平穏で
平穏をもたらす因子で
光あふれる日向で
手元にあった当然でした

ああ なんて恐ろしい
二度と経験したくない

ああ なんて格好良い
大切なことは私の胸に

ああ なんて愛おしい
私を愛してくれる人々よ

私に与えられたものは
理解不能な恐怖で
一瞬の救済で
心地の良い愛情で
ほんの少しのきっかけで
当たり前に溢れる幸福でした


他と私


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ