POEM

□近笑言
1ページ/1ページ


私なんかには
手の届かない存在だから
ただ皆が囲む外側で
ただ皆が騒ぐ遠方で
ずっとあなたを想っていた

彼はそんなとき
いつも笑顔で皆に言を返して
キラキラと輝くそれは
太陽よりも眩しくて
惹かれずにはいられない

窓の向こう側
扉の向こう側
写真の向こう側
景色の向こう側

異質を魅力とし て扱って
異質を武器として戦って
真っ直ぐに世界を臨んでいる

過去に起こった一つの交錯
あの日あの時あの場所で
同じ異質を持つ私にも
そんな生き方ができるのだと
彼は言として教えてくれた

桜舞い散る新校舎
世界に臨む信仰者
あの笑顔は自らの心を守る盾
あの言葉は自らを切り開く矛

皆が囲む外側にも
皆が騒ぐ遠方にも
彼を見つけることはないけれど
彼はどこにもいないけれど
どこかにいることは知っているから

さあ 今日もどこかで
落ちている勝利を拾ってやろう


近笑言


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ