POEM
□近笑言
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私なんかには
手の届かない存在だから
ただ皆が囲む外側で
ただ皆が騒ぐ遠方で
ずっとあなたを想っていた
彼はそんなとき
いつも笑顔で皆に言を返して
キラキラと輝くそれは
太陽よりも眩しくて
惹かれずにはいられない
窓の向こう側
扉の向こう側
写真の向こう側
景色の向こう側
異質を魅力とし て扱って
異質を武器として戦って
真っ直ぐに世界を臨んでいる
過去に起こった一つの交錯
あの日あの時あの場所で
同じ異質を持つ私にも
そんな生き方ができるのだと
彼は言として教えてくれた
桜舞い散る新校舎
世界に臨む信仰者
あの笑顔は自らの心を守る盾
あの言葉は自らを切り開く矛
皆が囲む外側にも
皆が騒ぐ遠方にも
彼を見つけることはないけれど
彼はどこにもいないけれど
どこかにいることは知っているから
さあ 今日もどこかで
落ちている勝利を拾ってやろう
近笑言