この魂の呟きを

□3-3
1ページ/4ページ

ミツキが石碑から現れたことに呆然としていた従業員たちだったが、我に返った後の質問攻めは恐ろしいものであった。
そのあまりの迫りようが怖くて逃げるようにして三人は建物から出る。
そのまま一旦宿をとるべく、街中へと戻った。



宿を探す途中でミツキが口を開く。

「勿論私とアインスが同じ部屋で弥琴が一人なんだよねえ?」

ミツキがさも当然のように言うことにアインスが眉間に皺を寄せる。
「なんで俺とてめぇが同じ部屋なんだよ!」
アインスが声を荒げるが、ミツキは涼しい顔をしている。

「私と君は男、弥琴は女なんだから当たり前じゃないかい」
バカじゃないのか、という風にいたって冷静にミツキは答える。

それがあまりにも正しいので、アインスはさすがに二の句が告げないでいた。

「それともなんだい、君は弥琴と同じ部屋がいいと、そう言うのかい?」

アインスはドキリとした。
勿論、ミツキと同じ部屋よりも弥琴と同じが良いに決まっている。
でもそれが何の感情に由来するものなのか、アインスは決めかねていた。



「ああそっか、私てっきりアインスと同じ部屋だと思ってた」
納得がいったような声で唐突に弥琴が呟いた。
ミツキとアインスが驚いたように彼女を見つめる。

「つい今までの感覚で…そっか、そうだよねアインスとミツキが同じ部屋だよね」

その言葉にミツキがふぅとため息をついた。

「…二人が構わないのであれば私が一人部屋でも良いよ。でもねえアインス、」

ミツキが何を言わんとしているのかに気づいてアインスはミツキを睨みつける。
それに気づいたミツキは呆れたような顔をしながら肩をすくめた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ