この魂の呟きを
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ガチャリ、と重たい金属音が森に響く。
いつの間に後ろに来たのだろうか、いかにもごろつきといった風な男が十名ほどアインスと弥琴に向けて錆びた刀を突きつけている。
こいつらは"変革派"だ。
そうアインスは確信する。
変革派――御事と刹那の闘いで刹那に味方をする者の総称。
現在の世界を良しとせず、変革を推し進める。
「テメェその尖った耳…守護者だろぉ?ってぇことはそこのガキが御事なんだよなぁ?」
嫌らしい笑みを浮かべながら男が言う。
変革派の者は御事を殺そうとする。御事を殺せば、地球の変革は行われると信じている。
「ぶっ殺しちまぇばこっちのもんだよなぁ?」
耳につく嫌らしい笑い声。
アインスは弥琴を見るが、反応はない。
ふとアインスは疑問に思う。
地球の表側で彼女は殺害の危機に直面したことがあるのだろうか?
見たところそういったことに耐性がなさそうな弥琴にこの状況を乗り切るのは酷かと思われた。
――また、俺は御事を喪うのか…?
下手に動けば奴らは弥琴を斬るだろう。それは避けたかった。
アインスがどう動こうか逡巡している最中、急にトンっと軽い音がした。
それと同時に目の前にいた弥琴が見えなくなっていた。