この魂の呟きを
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――二の国中央部。
木々が一掃された場所に石碑はあった。
弥琴は石碑を見てほっと胸を
撫で下ろす。
「やっと着いたぁ」
嬉しさと疲労でなんとも言えない声が出る。
結局石碑までは港から十日以上かかってしまった。
土砂降りの雨で足場が悪く雨宿りに一日費やした日もあった。
また途中ほとんど客が来ないような店で食料を補給したが、それももうかなり少なくなってきている。
宿にも泊まりはしたが、お世辞にも綺麗とは言えない所ばかりだった。
部屋の隅に蜘蛛の巣が張り、床は所々穴があいていた。
日本じゃ考えられないな、と苦笑しながら休憩をとる。
いい加減アインスと同室にいることには慣れてきたが、慣れてしまうのも良いものかどうか迷うところだ。
これまでの道のりで二の国はあまり良い印象がないな、と声には出さないものの弥琴はげんなりとため息をつく。
辿り着いた二の国の石碑は一の国のものよりも汚れていて、ここ最近誰も来ていないように見えた。
なんとなく石碑の様子から国民性が見えるような気がする。
一の国の人たちは信仰心が強く、石碑を手入れしてお供え物まで置いていた。
だが二の国ではあまり迷信じみたものを信じない傾向が強いのだろうか、石碑の場所を聞いてもわからない者が多く、石碑自体も汚れている。
なんだか嫌だな、と弥琴は思う。
同じ守護者でもこれほど扱いが違うのか。
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「へぇ、もう二の石碑に着きましたか」
ふわりふわりと上空からその様子を見つめる者がいた。
「今代の御事は優秀ですね」
どこまで本気なのかわからない声で彼は話す。
「…でも注意しないといけませんね、この国は危険ですから」
クスクスと笑って、彼――裁はその場を離れた。