この魂の呟きを
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"御事が刹那に負けると、地球には生命がいなくなる。"
その事実に弥琴は愕然とした。
ということは、私は生起と地球を天秤にかけなければならないのか。
状況がおかしすぎて、なんでだろう笑いがこみ上げてくる。
「あは…あはははは、あはは!」
気が狂ったように笑う私をアインスは止めようとしない。
痛々しいほど冷たい現実。
ああもう狂いたい。
「どうして私なのよ!」
キッとアインスを睨む。
「お前が御事の魂の器だからだ」
当然のようにアインスは言う。
「お前によく似た髪型の男。あれが本当の御事だ。お前が刀を扱えるのも御事が憑依しているせいだ」
アインスが言うには御事の魂は輪廻して次のミコトを生むが、所謂本当の御事そのものは幽霊のようにこの世に留まっているのだと言う。
なんだかよくわからないなと思うが、私があの時生起に刀を向けたのは彼の仕業だということはわかった。
「地球の裏側、つまりこの世界には十の国がある。そしてそれぞれの国には一人ずつ守護者がいて、御事が封印を解いていき共に闘う」
守護者は皆アインスのように耳が尖っている。
地球の裏側の人々は御事と刹那の存在を断片的に知っているに過ぎない。
しかも人々にとって二人は創造主と同じく、伝承や信仰の対象に近いもので、その信仰の度合いは国ごとに異なる。
その点、守護者はその国の守り神のような形で同じく信仰の対象とはなっているが、各国に石碑が存在するため身近に感じるらしく、信仰は御事や刹那に比べて遥かに強い。
耳が尖っているということは人々にとって守り神の特徴となるのだ。
「俺らはでも守護者っつっても何も守ってねぇけどな」