SHORT

□携帯エゴイズム
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2月の寒い日。
その日は家族三人で餃子を作っていた。
具を皮にのせ、包む。
それだけのことなのに三人まるで違う形の餃子が出来上がって面白い。
母の餃子はよく具がはみ出していて、父の餃子は形が整っている。
私のはと言うと、二人の中間のような形をしていた。

全ての餃子ができあがり、母がホットプレートを出してくる。
さあ焼こうか、といった段階になって家の電話が突如鳴り響いた。
父が不快感を露にする。
父は食事時間中の電話が嫌いだった。

母が慌てて電話を取り、受話器に向かう。
はい、…はいとただ頷く母の様子。

今思えば緊張していたのかも知れないが、そんなことに気づきもせず私はただ餃子が早く焼けることを楽しみにしていた。
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