公太郎
□スケープゴート2
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:ねてる
13の時あてもなく家出して、知らない土地で行き倒れになっている僕を拾って世話してくれたのがタイショー君だった。
最初はあの強面と逞しい体躯、ぶっきらぼうな態度に恐くて怯えていたけど、過ごしているうちにタイショー君が実はお人好しで強がりで、とっても優しいことが分かった。
それでいて不器用な彼。
手先はもちろん、ストレートに感情を伝えるのも苦手みたいだった。
せめてもの恩返しに、生活費と学費を稼ぐためバイトに忙しいタイショー君の代わりに僕は家の家事をすることにした。
頼まれたわけでもないし、生まれつき身体が弱くて寝てばかりだった僕にはもちろん楽な仕事じゃない。
だけど、少しでも彼の役に立てていると思うとちっとも苦ではなかった。
僕にとってタイショー君はかみさまだったから。
タイショー君がいなかったら生きていなかったし、きっとこれからも生きていけない。
彼のためなら何だって出来る。喜んで命さえも差し出すだろう。
タイショー君が、僕のすべて。
絶対傷つけたくない。傷つける奴は許さない。ずっと笑っていて欲しいんだ。
非力な僕だけど、タイショー君の幸せを誰よりも望んでいて、誰よりも大事にしているって自信を持って言える。
でも、恐れていたことがついに起きてしまったんだ。
…何だか嫌な予感がする。
前に僕が待っていた時は、夜更かしするなって怒りながらも嬉しそうに頭をなでてくれた。
それが今日は怯えて目も合わせてくれないなんて…
もしかして僕のことが、嫌いになった?
一体今日何があったの?
考え始めると止まらなくて、不安だけがぐるぐると渦巻く。
様子がおかしいタイショー君が心配で、たまらず胸騒ぎを覚えながら浴室へ向かった。