巨人の長編

□第四話
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「…」



「…」



「…」




「…なんか言えよ」




ここまで、酷いとは…
ほんとになぜできないのかわからなかった



「なにも言えねぇよ」



「…酷い」



「な、なんで?」



「ちくしょー!なんでできねぇんだ!?」



全員の疑問だよ。




「少し休憩しよう。集中力が切れたままやると危ない。水でも飲んでこい」



「くそっ!」



「焦るな。…お前ならできるはずだ」



「…すまん、頭冷やしてくる」



「あっ僕もタオル持ってくるよ」



「すまねぇなアルミン」



「気にしないで」




二人は各自別の方へ走り出した



「…はあ、エレンの奴……なんでできねぇんだ?エレンくらいの奴ならできるはずだってのに…」



フレイヤは心配していた。このままエレンが兵になれずに自分の夢に向かって走れなくなることを…



まだあってそう時間は経ってない。しかし一度認めたらとことん真剣に向き合うのがフレイヤの性格だった



「…あの」



「ああ、ミカサ。どうしたんだ?」



「ありがとう…」



「はい?」



「だから。…ありがとうって」



「…なんで?」



「エレンを助けてくれて」



「…ああ、そっか家族だったな。心配もするわな、あんな飛び方したら」



「うん、あのまま落ちたら骨折してたかもしれないし」



「確かにな」



「だから、ありがとう」



「いいって、友達になったからな。友達は大切にしないと、さ」



「あなたは大丈夫だったの?下敷きになったのに」



「ふっ、俺は最強じゃねぇが強いのさ」



「…ふふっ」



「オッ、初めてみたぞ笑顔」



「えっ?」



「うん、うん。やっぱ笑顔だよな女は、綺麗だぞお前」



するとミカサは赤くなって俯いてしまった



「(だからなんでこんなに可愛いやつが多いんだよ?…サシャといい、こいつといい)」



「あ、ありがとう」



「(…いずれ誰かを食ってしまいそうで怖いぜ…)」



まあ、あり得ないがな。
無理やりなんざ俺がなによりも嫌悪すべきことだ



このままだと変な雰囲気になってしまうので話題を変えようとフレイヤは切り出した




「け、けどいいよなぁ家族とか幼馴染ってさ。こんなに自分を思ってくれんだから」



「?…普通だと思う」



「そう…なのかな?」



「うん、家族を想うのは当たり前だと思う」



「…だよな」



フレイヤは少しだけ悲しいような、羨ましいような顔を浮かべた



「やっぱいいな。…愛情とか友情の絆に勝る財産はないぜ。…一生の宝にしな」



「…うん」
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