巨人の長編

□第三話
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「……もう朝か?」



まだ朝は早く他に起きている者はいない。
本当ならまだ寝ていても良い時間帯だ。
しかしフレイヤはいつもこれくらいに起きる。
習慣というのはなかなか抜けはしない



「ったく、昨日はずっと走らされたってのに起きちまうなんて」



体の疲労はほとんど取れている。
それに自分は一度起きてしまったらなかなか寝付けない



「くそ!外の空気でも吸うか」




男子の小屋から着替えて外に出る。
まだ肌寒い空気を思いっきり吸い込んだ



「はあぁ、訓練開始まで、というより朝食の時間までけっこうあるみたいだな」



この時間をどう使うかを考えていた。
じっとしているのは性に合わない。



「走る?…のは勘弁だな」



口に出しては自分で答えた。
しかし、本当にやることがない



「むっ?」



瞬間良いニオイが飛んできた。
食べ物の匂いではない



「花の匂いだ」



そうだ、別に走ったりしなくていいのだ。
散歩がてらに花でも見に行こう。
フレイヤは森に向かって歩き出した



「…見つけた」



思ったより簡単に見つけてしまった。




「もう少し歩こうと思ったけど」



花を見つめて匂いをかいだ



「…平和だ」



帰るかと腰を上げれば今度は何かの音を感じた。
何かで空気を裂くような



「…あれって」



そこにいたのは昨日教官を殴るのを止めにきた少年だった。



「…エレン、だったっけ?」



「なっ!?だれだ!?」



「おうワリーな、俺だエレン。覚えてるか?」



「あ、お前は教官を殴り飛ばした」



「フレイヤだ。よろしくなエレン」



「あ、ああ。よろしくな」



「見たとこ訓練か?」



「ああ、今日から訓練が始まるって思ったら起きちまってよ」



「格闘技が得意か?」



「一応な。まあ、立体起動もやったことないから何が得意なのかわからねぇや」



「…なかなか良い筋してるぞ。喧嘩慣れしてるって感じがする」



「喧嘩はよくやってたからな。けど巨人相手にこんなの意味はねぇよ」



「気を落とすなよ。良く動けることに越したことはねぇ」



「そ、そうかな?」



「ああ、どうだ少し組手しないか?こっちのが良い訓練になるぜ?」



「それじゃ、頼めるか?」




「任せろ。一応言うが、俺は最強じゃねぇが強いぞ?」



「上等!!」
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