★星屑★

□ひとりじめ
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〜side T〜



通りに面した広いガラス窓の中から、
なんだか可愛らしい生き物が大きく手を振っている。


目立ってはるよ、
お嬢さん…(笑)


わかったわかったと小さく手を振り返しながら、
通い慣れた店内へ入って行くと


「いらっしゃいませ。
妹さんがおみえです(笑)」


と、顔見知りの美容師さんにちゃかされた。



「とよこさあーん!
お久しぶりですぅ!」


人懐っこい笑顔ではしゃぐ彼女。


「あはは(笑)
ゆーても一週間やで(笑)」


「あそっかぁ☆」


いやでもあたしも
久し振りに会えて
嬉しいで。


「ではこちらに。」



大声で会話する私達に
お店の人が気を利かせて
隣の席へと案内してくれる。



すると、
手持無沙汰に携帯電話を開けたり閉めたりする
彼女の手元が目に入った。



「これから誰かと約束でもしてるん?」


「いいえ…?
どうしてですか?」


「ずっと携帯いじってるから。」


「あっ…」


無意識だったようで


「ほんとだぁ……笑」



笑った顔が、
何故だか少し
淋しげに見えた。




「この休み、ちえとは会わへんかったん?」


「はい…」


「そうなんやぁ…」


「やっぱり、
お忙しいですよね…」


「ねねちゃんから電話してみたらええやん。」


せやからずっと、
携帯手放せへんのやろ?


「んーでもぉ…
お疲れだと思うしー…」


この人、休みの間中ずっとこんなんやったんやわぁ〜きっと(笑)





と突然



「ん゛ーーー
なんかつまんないっっ!!」



持て余す気持ちを吹き飛ばすように
やんちゃな彼女が顔を出した。



「姫はご機嫌斜めですねぇ。」


口を尖らせ
強く首を縦に振る。



仕方無いなぁ
こんな時こそ
あたしの出番か


「なあねねちゃん、」


あくまでも
姫のご機嫌を損ねぬよう


「この後時間あったら…
ご飯付き合うてくれへん?」


お伺いを立てると


「はいっ♪」


見る間に笑顔を取り戻し
私の大好きな顔で頷いた。




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