★星屑★

□Paradox
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「ねねちゃん―――」



廊下を急ぐ彼女に声を掛けると、
華奢な肩がピクリと揺れた。


暫しののち、


「ハイっ!」


振り返った君は、
本当は一瞬警戒した事等おくびにも出さず、
一下級生の顔を見せた。


「涼帆とわかばちゃんが
あたし達に見て欲しいって言いに来たんだけど、
時間ある?」



「あ、はいっ、
 大丈夫です!」


呼び止められた理由を知り、思わず安堵の表情を浮かべた事は、
きっと本人は分かってはいないのだろう。





もう少し鈍感に生きられれば、
私ももっと、楽になれるものを…………笑












「んー悪く無いとは思うけど。
そーだなぁ、やっぱり恋人同士じゃなくって信じ合った夫婦だからさ―――」



夫婦――

それも、
あの時代には稀な
自然に惹かれ合って
結ばれた―――




「う〜〜〜ん。
そっかぁ。。。。。
あっ!じゃあー……」



隣を見れば
下級生を指導しているというよりは、同じ役を一緒に悩んでいるといった風情の君が、
なんとも可愛らしい。










「じゃあ二人で話し合うなりお稽古するなりして、
また明日にでも見せに来て。」


「「はいっ。ありがとうございました!」」






二人が清々しい風を残して去ってくれたお陰か、
私達は、
自然と顔を合わせ
微笑んだ。






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