★星屑★
□君の間違い
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「なあ、りかあー
ちょっと
見といてくれへ〜ん?」
「あーいいですよー」
ちえさんからの問い掛けに、私は何の躊躇いも見せずに答えた。
「スミマセンっ
お願いします☆」
けれど、その横でペコリと頭を下げる彼女から、私は思わず目を逸らす。
ねねちゃん、
その笑顔
眩しいよ…
「ほんならいくで!
8、2、3、4…」
ちえさんが曲の途中からカウントを取り、二人はそれに合わせて踊り始め、数小節の歌へと繋ぐ。
「「♪これが恋
恋ならば♪」」
そしてラスト
ちえさんは…
………いやジェラールは、
サンドリーヌを見つめ
唇を重ねた――――――
「ハアっ……どやった?」
「ハアっハアっ……」
「うん、良かったです」
本当に、
してるみたい
……でしたよ
「ちょっ!それだけ〜!?
何かさぁー、
もっとこうした方が
良いとかあるやろお
なんか言ってよー」
私の回答に不満気なちえさんの隣では、彼女があがっていた息を整えながら真剣にこちらを見ていた。
「うーん
敢えて言うなら……」
「うん!なになに!?」
わざとらしく勿体ぶる私にも、ちえさんの大きくて純粋な目は、好奇心いっぱいの子供のように益々大きくなる。
「サンドリーヌはあー」
「ハイ…」
彼女は引き締まった表情で、続く私の言葉を待った。
私は二人にこう返す。
「あたしがやりたい(笑)」
「ちょぉーっとおー!
なんやそれえ〜笑)」
「もお〜
かなめさあーん(笑)」
「だあってぇ〜ちえさん
超格好良いんだもーん」
彼女がにこにこ頷き同意して
「あっ、じゃあ…
どうぞっ☆」
自分の場所を私に譲ると
「あ゛ーっ!!!
どういうことおー!?!?」
ちえさんは、その大きな目を今度は思い切り吊り上げた。
広い教室の中、稽古の疲れも忘れケタケタと笑い合う三人の声が響き渡る。
あの日、私と彼女の間に起きた出来事など、もうどちらの記憶の片隅からも、まるで雪のように消えて無くなってしまったかのように…
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