★星屑★

□迷路
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私に、思いがけない悪夢のようなアクシデントが起こった…あの日―――



ちえさんは、

私を抱き上げ

軽々と診療所まで運んでくれた。




もともと、
憧れて、大好きな
尊敬する一期上の方。



組替えと、立場の変化と



不安だらけの毎日も
ちえさんの存在が
私の心の拠り所だった。


金魚のふんみたいにひたすら後を追う私を、
面倒がらずにかまってくれた。






そのうち組にも慣れてきて、周りも見えるようになり
仲の良い下級生ができたりもした。




そんな中

私はやはり

いつだって

ちえさんを見ている事に気付く。








そして

その隣にはいつだって

彼女がいる。







ちえさんの一言で、パッと花が咲いたように笑う君。

ちえさんのイタズラに、拗ねたように口を尖らす君。



そんな君を、
まるで生まれたての仔犬でも見るように愛おしげに見つめる、私の尊敬する人。






幸せな気持ちになる。

でも

胸が苦しくなる。









そして――――

いっそ
壊してしまいたいと――













いったい私は


誰を



見ているというのだろうか














このまま


はじめて訪れた
    迷路を楽しもう






答えはきっと





―――――その先にある







End
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