★星屑U★

□おそろい
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「あちょっと!!!」





丁度良いタイミングで現れた二人の腕を思いっきり掴み呼びとめた。



「痛ッ―――
 あちえさん!?
 おはようございます!」


「おはようございます!
 今日お稽古
  午前中からですか?」



また一段と細くなった様に見えるガッツとるりかが、こちらの心配をよそに元気良く答えた。



「うんん、
 今から群舞の自主稽古
      見んねん。
 ――あれ?それより
 そっちももう
   始まってたっけ!?」



「いえまだです」


「これから劇団レッスンで」


「偉いや〜ん(笑)」



二人の頭をわざとクシャクシャにするように撫でた。


「もーちえさーん(笑)
 それよりなんか
  私達に用事でも
あったんやないんですか?」



そうガッツに言われ、二人への重要任務を思い出した。




「あのおーさあ…」



「はい」
「はい」



るりかの今にも零れ落ちそうな大きな瞳を見てより一層言い辛くなる。



「や、えーっとおー。。。」



「…はい?」
「……………!!!」



するとその隣で何かを閃いたようなガッツの顔。



「わかった〜!!!
 いいですよ!
  それと無く
   訊いときます(笑)」



「あのお…
 …お願い、します(笑)」



頭の回転の速いガッツの出した答えは当然の様に正解で、
私はそんな下級生に、素直に頭を下げてお願いした。



「え!?え!?
 あたし全ッ然
  付いて行けて
   無いんだけど!?」



そんな私達に置いて行かれたるりかの為に



「6月26日、でしたよね、
       去年の。
もう一年なんですね〜」



気の利く同期はヒントを出すが



「え!?6月、26…?」


「もーみやちゃん…(笑)」



これは私がきちんと頼まねばと



「あんな、
 ねねちゃんにぃ…
 訊いてみて欲しいねん
 なんか今
  欲しいもんとかぁ…
 無いかって…アハハハ」


「一周年ですもんね(笑)」


「あーーーーッ!!!
 お披露目から一年!
 そうだそうだ!
   そうですねーっ!」




これでやっと通じたらしい。



「忙しいとこごめんけど
 …ほんまにお願いな?」



「分かりました!
 後でねねんとこ顔出して
  二人でちゃんと
  調査してきますから!」




「気付かれんようにやで!
 あ、そうやそれと、
 もうあんまし
    時間無いから
できるだけ早くお願いな!」



「分かりました(笑)」
「了解です(笑)」



そして注文の多い依頼人は
劇レスへと向かう頼もしい背中を送り出した。



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