10/03の日記

12:09
ただすがな願う
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私はママになりたかった。
父親の面影など残さない私は投影されたようにママに似ていた。
でも似なかった。
悪びれなく自由奔放で愛され続ける。私は貴女になりたかった。なれなかった。
実際実の親子と言えど、人格が違うのだから当然だけど血が繋がって嫌なほど似た外観をしているんだったら余計に憧れた。
いつも憎むのはママよりも周りで。私からママを盗った周りが大嫌いだった。最期の最期までママを奪われた。
荼毘の日も親戚のおばさんは私を見て泣いた。遺影とにかよった私。ばあちゃんは私まで亡くしたくないと言った。
あの日、あの時、鍵の音、私が駆けつけていれば、はたまた私がもっと早く命を絶っていれば、ママの代わりになれたんだろうか。皆に愛された貴女はここにいたんだろうか。家族たちは幸せだろうか。
誰より貴女に愛してほしかった。誰より貴女に見てほしかった。誰より貴女にそばにいてほしかった。誰より貴女に認めてほしかった。貴女の自慢になりたかったんだ。私は私のまま。
4年経った。今でも消えない。鍵の音は私の耳に響く。悔やむ。どうしたってママはかえってこないのに。
何年も経った。目の前には霧雨がある。皆、そんなものは見えないと言う。
私の生まれた日は晴れていた。捨てられた日は雨が降っていた。ママが形を無くした日は晴れていた。

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