黄昏の行方
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もうすぐ
小学校を卒業して
春から、中学生になる
変わらない日常
それは儚い
幻想
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明日は、念願の卒業式
小学校に行くのも、明日で終わる
友達なんかは、作らなかった
隣のお兄さんは、高校生になって、余り会わなくなったけど、休みの日は遊んでくれたし…
近所にいるお姉さんやお兄さんも、時間があったら勉強をみてくれた…
それで、充分
先生達も何も言わなくなったし、だいぶ過ごし易かった
…相変わらず話しかけて来る先生も居たけど、無視だ
で
何が言いたいか、って言うと…
『やっと、解放される…!』
つまらない授業も、くだらない喧騒も、邪魔くさいお節介も
小学校を卒業すれば、無くなる…!
皆と違う中学に行くと知って、どれだけ嬉しかった事か
授業料、設備、学力
色々と調べて見つけた学校だ
家からの距離もみて、ちゃんと通える近場だし、何より自由な校風が気に入った
例えば、バイトとか…
普通、中学生のバイトはダメらしいけど、その学校は許可してるのだ
お母さんも賛成してくれたし、問題ない
バイト先も、もう見つけた
近所の新聞配達店が、雇ってくれると言ってくれたのだ
小学生は流石に駄目だったけど
雇って貰える事になった
お母さんが、これ以上無理して働かなくていい様に
少しでも、生活費の足しになれば…
だから、はやく
『中学生に、なりたいなぁ…』
空に向かって、呟いた
それを見てる者が居るなんて、露知らず
何もない、平和な時間が続くと信じて…
へにゃり
と
頬を綻ばせ、笑う…
穏やかに、柔らかく、嬉しそうに…
―幸せが崩れるなんて、思う訳が無かったから――‐