黄昏の行方

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『…う、そ』



6歳の誕生日を迎えた今日、私は自分の目を疑った


右手首に、突然現われた‐痣

黒く、ハッキリと浮かんだソレは、まるで…



『良兄…』



大好きで、大切な、片割れと



『時姉…』



優しくて、尊敬していたお隣りの…



『…なん、で…?』


・・・・・
正統後継者がもつ―‐証


くっきり浮かぶ、四角



手のひらではなく、胸でもなく

手首に浮かんだソレ



恐る恐る
二本指を立て、床をさす



『…結!』



ピッ


出来上がったのは、四角い、結界と呼ばれるソレ

今まで何度も作ったソレに比べて、安定し、しっかりと作られている

まるで…



『前と、同じ感覚…』


・・・・・・
死ぬ前の感覚と、同じ


力が、元に戻った様な、感覚

でも



『…解』



フッ


作った結界を解き、手を握る


何となく、怖かった


結界が前みたいに作れるのは、嬉しい
…でも
いきなり現われたこの痣が、怖かった

良兄も、時姉も、生まれた時からあった 証 と違って
いきなり現われた事が

何より…



『なんか、体が…熱い…』



痣に気付いた時くらいから、徐々に体が熱くなっていて

体が、熱くて、熱くて…

痣が、痛くて、痛くて…



『…っ…ハァ、ハァ…』



意識が、朦朧とする…



バタリ




ついに、立つ事ですら出来なくなり
倒れた



「麻衣ちゃん!?」



異変に気付いた母が、朔夜に駆け寄り、抱き寄せた

額に手をやると、明らかに熱がある事が分かる


急いで病院に連れて行かれたが
原因不明の高熱と、ただの痣と判断された手首…


誕生日なのに、病院で過ごすハメになった事は
この時の私には、どうでもいい事だった…


ただ

なんで現われたのか、分からなくて…





怖かった










10/09/12

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