黄昏の行方

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「…っくく、なるほど」

『納得した?』

「あぁ」



手を口元におき、小さく笑った渋谷氏…

美人は何をやっても絵になるな…
と、朔夜はまたズレた事を考えていた



あれ、そういえば…



『ところで、さ。あの…長身の人、大丈夫だった?』



額の傷は大丈夫だと思うけど…
でも、腕は…



「あぁ、それなんだが。君を庇った拍子に右腕を打っていただろう?
どうやらひびが入ったそうだ」

『あらぁ…そりゃ、まぁ』



あんだけ鈍い音だったもんね…
まぁ、折れてなくて良かった…という事にしておこう
…うん



「…ただ、応急処置が的確だったそうで腫れは酷くないそうだ。額の傷も問題ない」

『…あ、ほんと?…良かった…でも…』



額の傷…もしかして頭に何か……額縁が当たって出来たと傷だとしたら、さ
検査とか…大変だよ、ね
だって、頭だし…



ボソボソと呟けば、検査は終わった、と教えられた



「検査の結果、脳に異常は見当たらなかった。が、念のためしばらく病院に居る事となった」

『…まぁ、大事な器官だもんね』

「…それで、君に頼みがあるんだが」

『…何?』



渋谷氏を見つめる朔夜

内心、あー…やっぱり彼は入院するんだ…
と思い
次に何と言われるかなんて、予定調和な一連に想像がついた



「助手、やってくれないか」



……あぁ…やっぱりそうなるか…



『…ハァ…質問。私って、役に立つと思う?』

「…さぁ」

『……』



そこは肯定もしくは否定しようよ
なんて反応すればいいか分からないじゃん
まぁ…
・・・・・・・・
元々こういう流れだし…それに、断る理由も…ないし、ね



『了解。いいよ、助手になってあげる。あの人が怪我したの…私が原因だしね』

「…物分かりが早くて助かるな」

『そりゃ、ね。ただ、一つだけ訂正…というか言い訳させて貰っていい?』

「なんだ」

『あれくらいの障害物なら一人で対処できた、って事』



含ませた意味は、助けてくれなくても良かったのに
という、少し失礼なもの

ふわぁ、と
欠伸を漏らした朔夜は、ニッ、と悪戯っ子の様な笑みを浮かべた



『でも、ま…庇ってくれたからね。後で礼を言わせてくれると有り難いんだけど?』

「…何の問題もないと分かれば合流する予定だ」

『じゃ、その時まで助手するね』

「…あぁ」



そう言って、歩きだした彼に朔夜は半歩後ろからついて歩く…



『あ、そうだ』

「…何だ」

『や、助手するのはいいんだけど…何するの?』



これを知らないと、手伝うにも手伝えない
・・・・・・・・
彼が何をしているかは微妙に覚えはあるんだけど…詳しく記憶にある訳ではないから、補足したい



渋谷氏は、ふぅ、と息をつき
口を開いた



「頼んだ事をしてくれればいい」

『……つまり雑用か』

「…そうだな」

『そ…あ、いくつか質問していい?』

「……何だ」

『質問1、渋谷さんって何者?
怪我人の代わりに私を助手にしたって事は、元々あの人より立場は上…って事でしょ?
で、17で仕事してるって事考えて、どんな仕事なのか気になるもん』

「ほぅ…それなりに頭はいいんだな
質問の答えだ。僕の仕事はゴーストハント。直訳すれば幽霊退治…かな。校長の依頼で旧校舎の調査に来た<渋谷サイキック・リサーチ>の者で、僕はそこの所長」

『ふぅん…成る程ね。だから今朝旧校舎にいたのね…
じゃ、次の質問…いや…これは疑問、かな。サイキック・リサーチって言ってるのに幽霊退治なの…?』



知ってはいたが、17で所長というのは素直に凄いと思う…

まぁ、それは置いといて
サイキックとか言ってるのに幽霊退治って、普通に不思議だ

だって、サイキックって念・超能力の総称でしょ?
うん
普通に謎だ



「…サイキック・リサーチは心霊現象の調査事務所の事だ。言っておくが超能力の事じゃない」

『…あ、そうなの
んで、どんな依頼されたの?』

「…それは今から説明する」

『ん、分かった』



それから、渋谷氏に連れられグランド近くのベンチに…









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