朝焼の間
□第六話
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「ただいま〜」
「おかえりでござる〜〜!!」
だきっ
学校から帰ってくるといつものように弁丸君が抱きついてきた。
玄関のドアを開けたら、もう目の前にスタンバっていたという…いつも帰ってくる時間違うのに何故わかるのだろう?
犬並みの聴力がある…?でも、弁丸君自体が子犬みたいだもんね。
「ただいま、弁丸君!」
「おかえりでござる、真白どの!」
まぁ可愛いからいいか♪ほんと弁丸君には癒やされっぱなし。
「おかえり〜」
「ただい…」
奥から佐助君が現れた。でも、なんか…
いや、佐助君は佐助君で間違いないんだけど…
割烹着してるよ、佐助君が…。
「どうしたの、それ…」
「いや、早苗さんがくれたから…着てみただけだけど。」
か…可愛い!!すっごく可愛い!!お母さんにみえるよ、それ!!
「もうすぐ、夕餉ができるから着替えておいでよ。」
「…あ、そっか。今日、おばあちゃん、町内のお食事会に行ってるのか〜…」
今日はおばあちゃんがお食事会に行っているため、今夜は私と弁丸君と佐助君の三人なのだ。だから佐助君が夕餉の準備をしてるわけだ。
「そうそう。ほら、弁丸様、離してあげないと真白ちゃん着替えられないでしょ?」
「…むぅ、わかった…」
今まで私の腰に抱きついていた弁丸君は佐助君に促され、しぶしぶ離れた。顔もちょっとふてくされている。
「ちょっと待っててね。すぐ着替えてくるから。」
私は急いで二階へ向かった。すると、後ろからとことこと、弁丸君がついてきた。
まるで雛のようだ(笑)
階段をよじよじと上がっている弁丸君を助けてあげたかったが、私は素早く更衣を終わらせるため部屋に向かった。
数分後ー…
私は着替え終わって、部屋のドアを開けると、またもや弁丸君が待ってくれていた。なんだかうずうずしている。
なんか、嬉しそうにブンブン尻尾を振ってるように見える…。
「…おいで、弁丸君。」
私がその場に屈んで、両手を広げると、弁丸君は顔をパアァと輝かせ、抱きついてきた。
私が体を抱え直しながら立ち上がると、弁丸君は顔をスリ寄せてきた。
あぁ、なんか弁丸君の髪がふわふわしてて、気持ちいい…
「弁丸君、もうお風呂入ったの?」
「うむ!とても気持ちいい湯であった!」
通りで弁丸君からいい匂いがするわけだ。
「そっかそっか。それじゃ、行きますか。」
「うむ!」
ただ二階から一階へ降りるだけなのに弁丸君すっごく嬉しそう。
そんな弁丸君を抱きかかえ、リビングに向かった。
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