歪みの国のアリス

□火の粉が舞うようにアナタは踊る
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「お茶を飲むのに首から下は必要ないわ。けど、残念なことにケーキを食べるためには必要なの。本当に残念なことだわ」

そう言いながら、女王様はカップに紅茶を注いでくれる。
上座に座っておきながら、お茶の用意をしてもらうという感覚は何だかおかしなものだ。

「わたくしたちのアリス、ケーキはどれくらい食べられるかしら」

私はその問いに答えず、

「じょおうさま、どうして今お茶なの」

と逆に問い掛けた。
部屋の窓から見える風景は暗闇だけだ。

「じかんくんがいないから」

なるほど、丁度お茶の時間に時が止まってしまったらしい。
女王様は顔をしかめて、あんな首の無いものは初めから居なくてもよかったのよ、と独り言を言い、

「それじゃあアリス、これくらい切っておくから、食べきれなかったら残してちょうだい」

と私に笑いかけ、ケーキを切り分けてくれる。
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