歪みの国のアリス

□今日も今日とてお茶会だ
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「…おい、ケーキが無くなったぞ」

と、僕とお茶会をしている、帽子を目深にかぶったヒトが言う。

「…」

僕は無言でそれに答える。


少年のような声をした彼が、新しいケーキが焼けたと言って運んできたことに僕が反応して、まだテーブルに置かれていないうちに僕はケーキを食べようとフォークを伸ばしたところ、途中で眠くなって皿を持つ彼の手に突き立て、悲鳴を上げた彼の手から無惨にもケーキは公園の砂場に転がって行ったのは、つい20秒ほど前のこと。

「今アリスが来たらどうするんだよ。ケーキがなくちゃ、お茶会が成り立たないぞ」

帽子をかぶった彼がそう言うのを、僕は半分眠って聞いていた。

「まだ…僕らのアリスは、来ない」

それは僕らが誰でも感じ取れる事だし、彼にもわかっていることだ。
今アリスは公爵夫人たちの結婚式場に居る。

「それに…ビスケット…」

ここにはビスケットもマドレーヌもある。
お菓子が無くともシナモンスティックだって置いてあるから、お茶を楽しむには十分だ。
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