歪みの国のアリス

□火の粉が舞うようにアナタは踊る
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廃ビル、どこか焦げ臭くて廊下や階段には瓦礫やがらくたばかりが転がっている。
しかし、その部屋だけは埃一つ無く、簡素ながら置かれた家具は質のいいものばかりだと一目でわかる。
清潔なテーブルクロスのかけられたテーブル、その中心にはキャンドルの炎がたゆたっており部屋は薄明るくなっている。
両端に向かい合うようにティーカップとケーキが乗るであろうお皿があり、小さめのスプーンとフォークが添えられている。
その少女の立っている右斜め後ろには、それらのお茶の道具類が入れられていたであろう、臍の位置より少し高い食器棚が備え付けられているかのようにある。
ガラスの引き戸になっているが、その中にはテーブルにある食器以外は初めから入っていなかったのか、すでに空の状態で、その上にはトレイに乗せられたティーポットと大皿にケーキが皿ごと隠すように蓋がされて置かれている。

私は、これこそがお茶会をするときの雰囲気だと思った。
ひとつ注文をつけるなら、ここには花が無いのが惜しいと言いたい。
あのお茶会には物がごちゃごちゃと多すぎたのだが、バラがあった。

「いらっしゃい。わたくしたちのアリス」

金髪の少女が私に声をかけてきた。
花があるとしたら、彼女のことをさすのだろうと私は考える。

「準備が整ったわ。さぁ、お茶にしましょう」

少女に促されて、私は扉側の椅子に腰掛ける。
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