中短編

□出会う
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出会う→誰かとあうこと


















彼女の存在などしらなかった

僕が興味あるのは勉強…特に闇の魔術だけ



余計なことなんて考えていなかったし、僕には他に何も必要なかった








否、必要なかったはずだった















勉強の気晴らしにと出かけた森の近く


地面は朝露でわずかに濡れていて、朝独特の静かでヒヤリとした空気が僕を包んだ





草木の匂いを体に吸い込み、内側から洗われていくような感覚に目を閉じる











ふと森の方から何か声が聞こえた気がして閉じていた目をあける


立ち入り禁止の森に誰かいるのだろうか?




僕は危険だと思いつつも森の中へ足をすすめた


まるで吸い寄せられるように―――











少し歩くと、開けた場所にでた

中心には澄んだ青色をした泉





(こんなところが森にあったんだ……)



その美しさに感動したが、肝心の声の主とおぼしきものがいない



(やっぱり聞き間違いだったか…。ま、こんなところに人がいるわけ……!!!)













いた


泉のほとりの小さな石に腰をかけ、泉と同じくらい綺麗な水色の髪がするりと伸びている




服から不用心に出された手、両足は水につけて足から感じる冷たさを楽しんでいるようだ

わずかに顔には笑顔をたたえている










思わず息を呑んだ、
―――――天使かと、思った


















近付いてはいけない

そんな気がして後ろへ1歩足をさげる



しかしマンガみたいに後ろの枝をふむ










パキッという音に彼女はハッとしたように顔をあげた


バチリと目があう





その瞳には色濃く恐怖が見てとれた


しかし僕を認識した途端、すうっとその色は消えて何も読み取れなくなる












「君は…生徒?」


ここにいるのだ

そうだろうと思ったが、僕は聞かずにはいられなかった




彼女は答える代わりにコクリと頷いた







「さっき歌ってたのは君?」

また彼女はコクリと頷いた






じっと僕を見つめる瞳にやはり感情は宿っていなく、泣いていたのだろうか、ほんの少し潤んだ瞳が僕の何かをかき乱す














「僕はスネイプ、セブルス・スネイプ。」


何故名乗ったのだろう

しかし自分から名乗るのは礼儀だ



なぜなら





「君の名前は、?」



相手の名前をきくのだから











長い沈黙が続く


今まで頷くしかしてくれなかった彼女が答えてくれるとは思わなかった






はあとため息をつき、このことは忘れ勉強に集中するためにクルリと身体を回転させる



しかしその途中、目の端に彼女が動くのが見えてピタと止まる












ピチャンと音がして彼女は泉の中に身体をいれる





まだ朝も早く、水は見るからに冷たそうだが彼女は顔色1つ変えなかった



ゆらゆらと水面がゆれ、それに合わせて、映った白い服もゆらゆらと揺れる














「……………ルナ」


「え?」


「名前、ルナ」





接続詞が抜けていたが、僕はすぐに意味を理解した




驚く僕を見て、彼女はフワリと笑った






「っ!!/////」

























朝早くの素敵な出会い
彼女の笑顔と、揺れる水面、

初めまして――――――


 

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