※拍手お礼文として置いてあったジン→ラグです。家庭機のジンストーリーモードエンディングをマイ解釈。
(兄さん、白い髪も似合ってたな)
久方ぶりに再会した最愛の実兄の髪はかつての眩い金髪ではなく、雪のように白かった。
(お揃いじゃなくなっちゃったけど、でも綺麗だった)
昔から兄さんと自分は性格も顔も似てなくて。性格はともかく、顔はもう少し似ててもいいのにと酷く納得がいかなかった。兄さんが「サヤとジンは双子みたいなのに俺だけ仲間外れかよ」なんていうから尚更。ただ髪色と瞳の色だけは全く同じで、太陽の下で眩く光る髪と瞳を見ては確かに血が繋がっている実感に浸っていた。
(あぁ、やっぱり兄さんと一緒がいいなぁ)
子供の頃から僕はなんでも一緒が良くて。兄さんには鬱陶しがられていた。でも、兄さんと同じものを持っているだけで僕は兄さんに近づける気がして。
「えいゆうさん、」
(ねぇ、兄さん。僕は兄さんに近づきたい)
「本当の英雄になりたくなくて?」
月と星と花と、一人の少女だけが最後の証人。
変革を告げるには生温い風が頬を撫でたが最後、僕はもう僕ではなくなる。
涙はもう要らない。
兄さんと違う色はもう要らない。
『弟』の『僕』は、もう要らないから。
(嬉しかったよ、兄さんに名前呼ばれて)
『来るな……っ、ジン!』
目を閉じれば思い出す。
『ジン』
怒った兄さん、笑った兄さん、泣いた兄さん……どんな兄さんも僕の大好きな兄さんで。
でも僕は兄さんに近づくために兄さんとサヨナラしなくちゃいけないんだね。
「さよなら、兄さん……」
今生は微糖、未来は無糖
(僕が兄さんの弟でなければ、全ての悪に繋がる絶望の黒が見えなければ、ねぇ、僕らは二人幸せになれたの?)
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