※ハクメンさんが完全復活したテルミにボコられ、世界がテルミ色になったら。……そんなテルハク。




気がついたときにはもうお気にいりだった。
変にストイックぶったところとか、妙に残った人間くささとか。
思えばこの嘘にまみれた世界をぶっ壊すって決めてからもこのお気に入りだけは残してやろうって決めていた。

「英雄なんてなるもんじゃねえよな?」

仮面をとりあげ
てそれにキスしてやったらすっげぇ目で睨んできた。鎖ぐるぐる巻きの状態で、しかもそんな光を移さない瞳で睨まれても怖くなんてない。

「何?誘ってんの?ハクメンちゃん」

唇の端をつり上げて笑うオレはきっと今最高にイイ顔してるはずだ。なんたって機嫌は上々。お気に入
りの『玩具』を手に入れた今、笑うなといわれても無理な話だ。逆に『玩具』となったハクメンちゃんは苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。さっき散々いたぶって傷ついた体に屈辱に歪んだ顔が最っ高に可愛い。

「ひゃはっ、速攻ぶち込んでやりてぇんですけどー」

白い躯に巻き付いた鎖をこちら側に引き寄せればうめき声と共に端正な顔が息のかかる近さにまで来た。

「さぁ、二人だけの世界をたっぷり楽しもうぜ?」
「・・・・・・悪夢だな」

凹凸のない陶器のような肌に舌を這わせてやると皮肉めいた言葉が聞こえた。その言葉に笑いを堪えて形の良い
耳にかじりつく。

「生憎と醒めない夢だぜ。なんてったってオレの世界だからな」

舌に感じる鉄錆の味はこの上なく甘かった。






愛を語るには汚れた口で




(二人だけの世界。時間はたっぷりある。さあ愛を語り合おう)






title by 剥製は射.精する

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